Product Market Fit(PMF)とは何か?


Product/Market Fit(PMF)は、近年スタートアップエコシステムで利用されている概念で、スタートアップが成功するための唯一必要な条件とされています。米国VCのBenchmark Capital及びWealthfrontの創業者であるAndy Rachleffによってコンセプト化され、a16zのベンチャーキャピタリストであるMarc Andreessenが広めました。

Product Market Fit(PMF)とは


Product/market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market. PMFとは、良いマーケットに対して、そのマーケットニーズを満たすことができるプロダクトがあること。


Marc AndreessenはPMF(プロダクトマーケットフィット)を広めた彼のエッセイでこう定義しました


またニーズを満たすプロダクトが重要なことについて、Y Combinatorの共同創業者であるPaul Grahamもインタビューでこう語っています

Probably the biggest cause of failure is not making something people want. The biggest reason people do that is that they don't pay enough attention to users. おそらく失敗の最大の原因は、人々が望むものを作らないことです。人々がそうする最大の理由は、ユーザーに十分な注意を払っていないからです。

実際CBインサイトの調査によると、スタートアップが失敗する最大の原因はマーケットニーズがなかったからとされています。


PMFが実現された状態とは?

ただし、PMFとは具体的にはどのような状態なのでしょうか。Marc Andreessenは、PMFが実現された状態をこのように特徴づけています。

You can always feel when product/market fit isn't happening. The customers aren't quite getting value out of the product, word of mouth isn't spreading, usage isn't growing that fast, press reviews are kind of "blah", the sales cycle takes too long, and lots of deals never close. And you can always feel product/market fit when it's happening. The customers are buying the product just as fast as you can make it -- or usage is growing just as fast as you can add more servers. Money from customers is piling up in your company checking account. You're hiring sales and customer support staff as fast as you can. Reporters are calling because they've heard about your hot new thing and they want to talk to you about it.

PMFしていない時はいつでも分かります。顧客は製品の価値を十分に感じていないし、口コミは広がっていない、製品の利用もそれほど急速に伸びていない、プレスのレビューもちょっとしたものでしょう。 そしてPMFが起これば、すぐに分かります。顧客は製品を作るとすぐに購入し、サーバーを増やすのと同じくらいの速さで利用量が増えます。顧客からの収益で会社の銀行口座は積み上げられ、あなたは出来るだけ早く営業とカスタマーサポートを雇います。メディアからの連絡も鳴りやまないでしょう。


PMFを定量的に測定する方法は

では、少し曖昧な定義であるPMFを、定量的に測定するにはどうすればいいでしょうか。ここではHubSpotのグロースマネージャーを担当していたBrian Balfourのフレームワークを紹介します。彼はスケールの前に、大きくは、1.先行指標、2.エンゲージメント、3.リテンションの3つのデータを見ることを推奨しています。またそのデータの取得→解釈→アクションを継続的に行うことが重要であると述べています。

1.先行指標

1-a. Product/Market Survey(Ellis Test) Dropboxのグロースを行ったSean Ellisが開発した手法で「この製品(サービス)がもう利用できなくなったとしたら、どう思いますか?」という質問をユーザーに行います。そして成功の尺度は大変残念が40%を超えることとしています。


この製品(サービス)がもう利用できなくなったとしたら、どう思いますか? 1. 大変残念 2. まあまあ残念 3. 残念ではない


2020年12月に約2.8兆円でSalesforceに買収されたSlackは、この調査とデータに基づく分析・改善アクションを繰り返し行い、スケール前に51%の数値を獲得しました。


1-b. NPS(ネットプロモータースコア) NPSは、ユーザーの満足度を測定する方法であり、成長の指標として多くの企業で使用されています。


2.エンゲージメント

ユーザーがどのように製品やサービスを利用しているか。規則性は持っているのか、ユーザーは一部に偏っているか、毎日利用しているか、どのくらいの頻度か。これらのデータはユーザーが製品やサービスを利用している証拠であり、プロダクトを好きかどうかという先行指標を補完します。


3.リテンション

ユーザーが製品を好きであれば、繰り返し利用します。リテンション曲線はそれを測定するための重要な分析手法です。時間の経過に伴うアクティブユーザーの割合をプロットしてリテンション曲線を作成します。ユーザーが戻ってくると曲線は平らに近づきます。


まとめ

Product/market fit isn’t a one-time, discrete point in time that announces itself with trumpet fanfares.

PMFは、トランペットのファンファーレで発表される一度限りの固定的なものではありません。 ー a16z Ben Horowitz


日本においてもスタートアップや新規事業部を中心にPMFの概念は広まりつつあります。しかし、PMFを実現するためのフレームワークや、データドリブンで行う考え方は萌芽段階です。また、Ben Horowitzが言うようにPMFは一度達成すれば終わりというわけではなく成長の各フェーズで継続的にデータ取得→解釈→改善アクションを行うことが不可欠です。今後もPMF実現の詳細手法、日本での取組み事例を紹介していければと思います。


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